(ゲームの世界の)F1マシンのセッティング part 3(サスペンション編) その1

日々、最前線で働いてくださっている全ての医療従事者、その関連会社の皆様に、敬意と感謝を申し上げます。(2020.04.25追記)

デフの説明からかなり間を置いての投稿になってしまった。久しぶりのセッティングシリーズとなる今回はサスペンションについて考えてみよう。

ゲーム内の設定項目

以前説明したデフは難しかった。それでもコーナリング時の左右後輪の回転数の差を合わせることと理解すればよかった。あとは差を少なくするために柔らかくした時と硬くした時とで、ドライビングにどのような影響が出るのかを頭に入れてセッティングを煮詰めていけば良い。またドライブ中に設定を変更できる。(というよりもむしろ積極的にコーナーに合わせて変更する)実際にブレーキバランスとデフを変更している様子がオンボードカメラでしばしば確認できるのでシーズンが始まるとぜひ注目してみてほしい。

さて今回のサスペンションだが、ゲーム内では次の6つの項目が設定可能だ。

①フロントサスペンション   
②リアサスペンション     
③フロント・アンチロールバー
④リア・アンチロールバー   
⑤フロントサスペンション高  
⑥リアサスペンション高    

それぞれ簡単にみていこう。①と②のサスペンションは簡単に言うとシャシーとタイヤをつないでいるアームの部分をいう。ここではそのアームの「柔らかさ」の程度を調整する。「柔らかさ」とは「動きやすさ」と言えばわかりやすい。アームが動きやすいということは、タイヤが上下にスムーズに動くということである。勝手に上下に動くわけではない。路面の凹凸に合わせて動くのだ。デコボコ道に合わせてサスペンションが動きガタガタと伝わる振動を打ち消す。だからスムーズにコースを一周できる。ただし凸凹にも程度の差がある。軽い凹凸なら少しサスペンションが動けば振動を吸収できるが、大きな凹凸からの振動を吸収するには大きくサスペンションが動かなくてはいけない。仮にコース上の1番大きな凹凸を吸収できるように柔らかく設定したとすると、それより小さいコブを超えるときや、平坦な路面を走るときには逆にフワフワと余計な動きが生じる。わかりやすくサスペンションの役割を説明するとこんな感じだ。ただしF1が走るサーキットは基本的に凸凹道ではないが、路面が荒れている市街地コースはサスペンションを柔らかくせねばなるまい。

フロントサスペンションはコーナー侵入時に与える影響が大きい。ブレーキング時に荷重が前にかかると深く車が沈み込み、その戻りの反動で挙動が乱れることもある。ダウンフォースで車を地面に押しつけ最高のグリップを得られるように苦心する一方で、サスペンションはそれを打ち消しかねない。またリアサスペンションを柔らかくするとアクセル時のトラクションのかかりは良くなる。逆に硬くするとどうなるのだろう。ブレーキ時の車の姿勢変化が少ないので空力への影響も小さい。ただし硬い分、凹凸でタイヤがはねるし路面やコーナーに合わせる動きが減ることになる。そのためコーナーへの侵入やコース全域に渡って挙動が不安定になるしシビアなコントロールが必要にもなるだろう。

アンチロールバーの役割

アンチロールバーはコーナ時に車がよじれるのを抑える役割がある。少し誤解を与えるかもしれない。よじれるは普通はよくない現象と考えられるが、車を走らせる上では必ずしも悪というわけではない。よじれることによってコーナ時にタイヤにかかる遠心力などの余計な力をボディーが吸収してくれる助けになる。そにため緩く長い高速コーナーでは挙動が安定しスピードを落とさずに走り抜けるのに一役買う。しかし柔らいと車の姿勢は一定せず荷重の移動があるコーナー侵入時には不安定を生じさせることになる。また逆にボディーが一切よじれないなら余計な力のほとんどをタイヤで吸収するしかない。タイヤに負荷がかかり、その結果としてブレーキ時のタイヤロックを引き起こしやすくなる。サスペンションにも言えることだが、セッティングにはバランスが大切だし、いろいろな種類のコーナーで構成されるサーキットでは唯一無二の設定はない。どのコーナーでどのようにタイムを縮めるかが戦略であり、ドライバーの好みや技量にも左右される。

あくまで「ゲーム内の」セッティング解説なのでリアル物理を十分に理解しているわけではないので、多少の誤解には目をつぶって頂くか、優しくご指摘いただきたい。

サスペンション高(Ride Height)

車高である。
F1カーの理想はできるだけ低い車高である。車高が低いということはボディーと路面との間が狭いということである。スポーツカーはF1のみならず横から見ると大まかに三角定規の細い方のような形をしている。ボディーを流れる風は車体の上面の方が速く流れることになる。これは単純に同じ時間でより長い距離(三角定規は斜辺(車でいう上面)が底辺(車でいうフロア)より長い)を進んでいるためである。飛行機の翼と同じ原理だが流れの速い方に負圧が発生し引っ張られる。そのため上に上にと上昇しようとする。もしウイングをはじめとする空力パーツがなければF1マシンは宙に浮き上がろうとするはずだ。ウイングの角度で受ける風を地面を押し付ける力に変えて浮き上がろうとする力を打ち消し、タイヤを地面に設置させているのである。ただし角度をつければつけるほどドラッグと呼ばれる抵抗を生み出し速度が削られてしまう。したがって抵抗なく宙に浮き上がろうとする力をできるだけ打ち消したいのだ。そこで車高を低くしてボディー下に流れ込む空気を減らそうとする。狭いとそこを通り抜ける空気の密度が低くなり、そこにも負圧が発生し地面側にへばりつこうとする力が発生するわけだ。
また重心が低いということは安定を生み出す。これは簡単な物理だ。重いものは下にあるほど安定する。例えばグラグラした不安定な棚があるとしよう。重い荷物を棚の上の段に置くとより不安定になり、少し揺らすだけで棚は壊れそうになるだろう。しかし棚の下の段に荷物を置けばグラつきは少ない。車高が高いと重い荷物を上の段においているようなもので、ブレーキやアクセルオン時など車の荷重が移動する際に大きな影響を車に与えることになる。しかしだからと言って車高を下げすぎるとボディの底がつき、路面とシャシーの間で摩擦が生じる。また荷重移動の際にボディーが沈み込み地面にあたり十分な荷重の移動が行えない。しかし低いは絶対的な正義なので調整自体は比較的簡単だろう。
それぞれの項目にはフロントとリアがある。これはブレーキング時がフロント、加速時がリアと大まかに捉えておけば良い。

次回はいくつかのコースを例にセッティング例を考えてみよう。

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