FANATEC購入ガイド2 ホイールベースの選考

FANATEC

 FANATECでは本体のことをホイールベースと呼んでいる。現行のホイールベースは4種類。大別すると、モーターの軸にステアリングを直付けするタイプのダイレクト・ドライブとモーターの回転をベルトを介して軸に伝えるベルト・ドライブタイプだ。

 最高峰のPodium Wheel Base DD2はおよそ20万円。旧モデルのDD1が16万円。一方、ベルトドライブはClubSport Wheel Base V2.5とCSL Elite Wheel Base V1.1の二つ。前者が6万5千円で後者が3万9千円だ。CSL Eliteは4万円弱と侮ることなかれ。FANATECのシステムはステアリング、ペダルは別売。場合によっては机に設置するためのクランプもオプシャン扱いであり、最も廉価なCSL Eliteでも、フルセットで揃えると8万9千円なり。ちなみにThrustmasterのT300RSは込み込み5万円前後で購入可能である。

ステアリングとペダルを決める

 FANATECユーザーとなるには、まずは以上4つのホイールベースより一つを選ぶところから始まる。筆者はClubSport Wheel Base V2.5を選択した。

 購入にあたって、最初に検討したのはダイレクト・ドライブモデルだ。ThrustmasterやLogitechにはダイレクト・ドライブのラインナップはない。だからFANATECといえばダイレクト・ドライブと考える人もいる。この意見に異論はないし、筆者の購入計画もここをスタート地点とした。

 色々と情報を集めるにつれて、ダイレクト・ドライブへの道は厳しいものになっていく。それは、価格もさることながら、その強烈なパワーゆえにだ。DDシリーズを設置するには、いや、正確にいうとそこから発生する20Nmにもおよぶパワーを受け止めるには、相応のフレームを用意しなくてはいけない。ニトリの作業机では心許ないどころか、おそらくそのパワーを受け止めきれないだろう。FANATECの純正フレームが約10万円。DDを設置するためのマウントが3万円。これだけで13万円になる。そこに本体が16万。ステアリングもペダルも相応の物を揃えるとフルセットで40万円を軽く超え…。お金の話ばかりになってしまったが、とにかくDD購入には設置するためのフレームが必要と筆者は判断した。そして設置スペースなども考慮すると、さすがにそこまでは手が届かない。そこでベルト駆動方式のCSW(ClubSport WheelBase V2.5)とCSL Elite V1.1をじっくり比較検討することにした。

 ハンコンに対する期待や、機材選びのポイントは人ぞれぞれで当然である。筆者の場合は、ホイールベースよりも、ステアリングの方にこだわりがあった。特にF1ゲームを遊ぶ時には、さまざまな設定をステアリングのスイッチに割り当てたい。ロータリースイッチは絶対欲しいし、LEDインジケーターやLEDディスプレイも欲しい。そう考えるとFANATECのラインナップではClubSport Formula V2か限定のF1ステアリングの二択となる。限定版も視野に入れて考え始めたが、F1ステアリングは発売したばかりだというのに早々にSOLD OUT。さすがは世界のFANATECだ。残念ではあったが逆にステアリングの選択に迷いは無くなった。ClubSportフォーミュラV2を購入した。デザインとパドルのグレードが限定版とは異なるが、マッピングできるスイッチ類やインジケーター、LEDディスプレイは同じだ。大満足。つぎにペダルを決めた。ペダルには正直に言ってこだわりはない。むしろなぜペダルだけこんなに安い??、CSL Elite Pedalsに即決。アクセルとブレーキの2ペダルで良いのなら1万円を切る。イニシャルコストをできるだけ抑えたい筆者やFANATEC入門者にとっては最良の選択肢だ。この先物足りなくなればロードセルキットを追加購入すればアップグレードも可能だ。これでいい。実際に使用したが不満はない。これも大満足。さぁ、いよいよ正念場、ホイールベースの選択だ。

 CSW V2.5 対 CSL Elite V1.1

 もし資金に余裕があるなら迷わず上位機種を買えば良いかというと、それだけでは少し危険だ。そこに付随する様々なものを考慮に入れるべきだし、実際に使用していく時のイメージを持つことも大切である。冒頭で価格を紹介したが改めて記載しておこう。

・ClubSport Wheel Base V2.5
 : 7万3千円(本体6万5千円+クランプ8千円)

・CSL Elite Wheel Base V1.1
  : 3万9千円

 FANATECの価格表示は、その国、地域の消費税を含んだ価格となっている。この二つの価格差は3万4千円也。筆者が注目した機能や様々な違いを整理していこう。情報は全てメーカー公式HPによるが、一部記載がないものに関しては関連の情報から推測している。

CSW V2.5CSL Elite V1.1
使用可能機器PC、XBox One
サイズ(mm)210 × 295 × 150 記載なし(より大きい)
重量(g)4200記載なし(より軽い)
おもな素材アルミニウムABS樹脂
トルク8Nm6Nm
フォース発生周辺アルミ製プーリ(ベルトを受ける貨車)
2つのVベルト
ABS製プーリー
1つの平ベルト
位置感知センサー2つの磁気センサー1つの光学式センサー
冷却システム2つのファン1つのファン
回転角90°-900°90°-1080°
他の項目はメーカーHPを参照ください。

 頑張って表を作成しみたが、表にするほどのことはなかったか。あらゆる面でCSWの優位性を示すのは当然であり、CSL Eliteを選択するのであれば、CSWに劣るいくつかの項目が実際にどの程度満足度に関わるかを理解することになる。そこで筆者なりに(一部推測)説明してみたい。

 素材から

 CSL EliteはABS製とはいえ、Windows搭載の廉価ノートPCとは別次元であることを最初に申し上げておく。本体正面は金属面を模したフィニッシュ、側面はツルツルに磨き上げてあり高級感を演出している。写真で判断する限りは、プラ製に見えないし、ましてやチープな感じは受けない。一方、アルミ製のCSW(筆者所有)は同じノートPCで例えるなら、Mac Book Proのようなものか。特にエクスキューズする必要もない。ひんやりと冷たく、カンカンと剛性のあるボディは、冷却機能などに良い影響を与えている可能性もある。筐体外部は以上だが、ひとつここはという点を挙げるとすれば、ステアリングを取り付けるquick release systemがある。CSWでは軸全体に加えて、内側の接続部分も金属で作られていて、ステアリングをガッチリと接合する。不安になるようなグラつきは一切ない。それに対してCSL Eliteは軸こそ金属製だが、内部の接合部分はプラ製のようだ。実際にステアリングを取り付けると若干であるが遊びを感じる。この部分はモーターからのフォースをドライバーに伝える肝腎要の部分であり、素材で差をつけているが、FANATECのデザイナーが、実際にプレイする時のフィーリングや、耐久性を著しく犠牲にしているとは思えない。モノである以上、素材は大きな意味を持つことに違いはないが、一旦レースに集中すれば筐体の素材が気になることはない。

素材の結論 = 見比べなければ問題なし。プレイに影響はない。ただし絶対的な違いあり。

 センサー

  CSWのセンサーは2つ。モーターとステアリングの軸にそれぞれ付いており、ステアリングを通じて入力される情報を「比類なき正確さと信頼性」(メーカーHPより拙者訳)で処理している。一方でCSL Eliteのセンサーは1つ。ステアリングの軸に取り付けられている。この違いが実際に何に影響するか分からないが、入力の分解能は単純に2倍。たくさんの情報を受け取って処理することがネガティブなはずがない。どう考えても二つセンサーのついているCSWの勝ち。でも一つだからといってCSL Eliteの負けでもない。実際にプレイしてみると、現時点での筆者のドライビングにおいて決定的な差を生み出すものではない。ただ一点気になるのは、センサー方式だ。CSL Eliteは光学センサーなので、Thrustmater T300RSのHeart Hall Sensorに劣るのかもしれない。そうなるとT300RSからCSL Eliteへの買い替えが必要なのかという問題が発生する可能性もある。いや、まぁ、ないか…。これも体感することはないだろうが。

センサーの結論 = 
人間の能力では、数万分の1の違いを感じることは不可能。しかしかつてのセナはクラッシュしたウォールの5mmのズレを感じていたとか。

冷却システム

 筐体の素材が金属。それもサイドにはスリットがはいっておりファンも2個設置されいる。CSWは吸排気を行うアクティブ方式。かたやCSL EliteはABS製ボディーに排気のみのシングルファン。実際にプレイして比べてみたが、プレイと同時に勢いよくファンが回るCSL Eliteに対して、より強大なフォース(具体的には約2倍、後述)で2時間近くプレイしてもCSWのファンの音は許容範囲。気になるほどの音ではない。大型ケースの中から漏れるCPUやGPUファンの音の方が気になるくらいだ。(ちなみに筆者のPCはかなり大型ケースであり、ファンの騒音にも一定の対策を講じている)これは精神衛生上、結構な違いを生じるし、加えて長い目で見れば、本体の寿命にも関わってくる。FANATEC製品に限らず、どうしても廉価版はプレイヤーに対する細やかな配慮の部分で妥協を強いることが多いように思う。すこしでも機能性を充実させる方を優先させるのか、ユーザービリティを犠牲にすることを選択するメーカーが多いように思う。筆者は冷却性能を気にする。というよりも心配なのだ。熱は物の寿命を縮める。余談になるが、この1月にPCを久しぶりに組み上げた。GPUに選択したのはRTX2060だった。半年近く使ってみて性能面でも不満を感じ始めていたが、GPU温度が特に気になっていた。負荷をかけると80度近くまで達する。80度は通常運用範囲だが、暑い日が増えてくる。気になっていた。そのためFANATECを購入するちょうど2週間前に、思い切って冷却性能の評判が良いMSI製のRTX2070superに換装している。そんな筆者なので、冷却性能とファンの騒音に妥協はできない。

冷却システム = まったく別物。CSL Eliteは、気になる音。CSWは当たり前程度の排気音

 トルク発生まわり

 ここが本命。なぜなら筐体を金属にして剛性を高めているのも、2つのセンサーで正確な情報を検知しているのも、アクティブ方式の冷却機能を有しているのも、全てはより強大なパワーを発生させ、それをユーザーエクスペリエンスにするためである。トルクの発生は最大値で1.6倍の差がある。T300RSが3.9NmなのでCSL Eliteを65%の出力にしてもT300RSのフルパワーで楽しめる。CSWのほうは65%でも6Nm近く出力し圧倒的。筆者は毎晩ハンドルを握るたびに圧倒的パワーを思い知る幸せな毎日を送っている。力のモーメントは以上の通りだが、そのフィーリングは言語化しにくい部分があるのだが、CSWが工業用モーターから2本のV型ベルトを介して二つのアルミ製プーリー(一方はかっこいい赤色)でステアリング軸を動かすのに対して、CLS Eliteは1本の平ベルトがプラ製のプーリーを介して動力を伝える。CSWが採用する機構はフォースを伝達する際に不要な抵抗やスリップを排除し、滑らかかつ強力にステアリングを動作させる。モーターから発生するパワーの伝達にロスがないから、8Nmもの力を出力できるのだ。CSWは軸受け部分とそれを支えるフレームもアルミ製で、本体上部のクリアパネルからバッチリ確認でき、この辺りの作りは機能と美と所有欲を三位一体にしている。CSL EliteやT300RSが繊細な表現では一歩も二歩も劣るのは仕方がないところだ。ここは決定的な差であり、それらはすべてパワーと、フォースのフィーリングのための仕様なのだ。ここにこそCSWの価値がある。

トルク発生まわり = ここを検討すれば答えは一つ。 絶対にClub Sport Wheel V2.5

 さぁ、次回はいよいよ、設定からのプレイフィールの言語化に挑戦する。

 乞うご期待!!(こちらから、どうぞ! https://03driver.com/2020/08/31/fanatec-csw-review/

コメント

  1. PAPA より:

    ブログ楽しく読ませて頂いてます。私は40過ぎてPCでレースゲームをするようになった者です。今G29からCSWに買い替えを検討してるところです。
    CSWのフィーリングなど楽しみにしております。

タイトルとURLをコピーしました