アセットコルサ コンペティツィオーネのセットアップ

アセットコルサ コンペティツィオーネ

さぁ、いよいよセッティングの話をしよう。

『アセットコルサコンペティツィオーネ』(以下ACC)のセッティングは「TYRES」「ELECTRONICS」「FUEL&STRATEGY」「MECHANICAL GRIP」「DAMPER」「AERO」の6つの項目に分類されている。7つの設定項目を持つ『F120xxシリーズ』と比較すると項目数に一つ劣るが、設定できる詳細は『ACC』が優っている。ゆえに複雑で少々わかり辛い部分がある。筆者は公式サイトのフォーラムを読み漁り、いくつか有益な情報を集めたので、それらを自分なりにアレンジして、ここでまとめさせていただこうと思う。(必ずしも正しい情報とは限らないので、いつものように優しい眼差しで一読いただきたい。)

TYRE − タイヤ圧、トー、キャンバー、キャスター

 「TYRE」セクションでは、「タイヤ圧」、「トー」、「キャンバー」、「キャスター」を設定する。「キャスター」の設定は『F120xxシリーズ』にはない項目だ。「キャスター」とは車を横から見た時の、タイヤのボディに対する角度であり、フロント寄りに傾くとポジティブ、リア寄りに傾くとネガティブとなる。キャスター角は車の安定とハンドリングの重さに関係するため、通常はターンイン時の安定を狙ってポジティブに設定するが、一方でコーナー中にアンダーステアを発生させる原因になるので注意が必要だ。なお、ネガティブに設定されることはほとんどない。

キャスター = Good:コーナー侵入時、ブレーキング時の安定 /Bad:アンダーステア傾向

 「キャンバー」とは正面から見た時のタイヤの角度である。ハの字に傾くとネガティブ、V字に傾くとポジティブとなる。キャンバー角はタイヤと地面との接地面積に関係する。ネガティブに設定すると、マシンが直進している時、タイヤの内側(inside)に力がかかった状態で接地している。コーナー時には遠心力と呼ばれる外向きの力が加わり、ボディやタイヤがその影響を受けて傾く。その結果、傾いていたタイヤは正立していき、それに伴い接地面積が増すことになる。例えば、右フロントタイヤは、左旋回時には、遠心力でマシンがコースの外へと膨らもうとするのを踏ん張らなくてはならない。したがってタイヤは外側に力がかかる。この場合、タイヤが初期状態でネガティブに設定されていると、旋回時にGを受けて歪みを生じた結果、接地面が増えることになる。最大面積で設置している方がグリップに優れているのはいうまでもなく、また摩耗も均一となるため何かと都合が良い。設定は “LAST READING” に表示されるタイヤの状態から判断する。この”LAST READING”の一段目にあるOMIは、Outside(外側), Middle(中央部), Inside(内側)の頭文字だ。それぞれタイヤの消耗度を数値化している。内側の摩耗が激しい場合は、ネガティブ角を緩やかにする。逆に外側の摩耗が激しい場合はよりネガティブに設定するとよい。

キャンバー = グリップを最大に得る:タイヤの摩耗具合から角度を調整し、均一にする。

 「トー」は上から見た時のタイヤの角度である。上から見てハの字になるのを「トーイン」、逆にV字になるのを「トーアウト」と呼ぶ。フロントタイヤのトーインは直進性が増すが、他方ターンイン時はアンダーステア傾向になる。トーアウトはオーバーステア傾向でターンイン時の挙動がクイックになる。リアタイヤはトーインに設定することで直進性を高めるが、リアをトーアウトに設定することで得られるメッリとはない。注意しなくてはいけないのは、トーイン、トーアウト共にタイヤの摩耗とトレードオフであるということ。逆にこれを利用してタイヤが暖まりにくいサーキットでタイヤに喝を入れることもできる。

トー角= トーイン:安定性、高速サーキット /トーアウト:旋回性能、低速コース

 このセクションの最後はタイヤ圧だ。レース中の最適なタイヤ圧は27.0-28.0PSI(ウェットタイヤは30.0-31.0)、そのためタイヤ圧の設定にも前述の”LAST READING”のデータを参照し、走行中に最適値となるようにスタートアップ時の設定値を探っていくことになる。既に述べたキャンバーやキャスター角、サーキット特性や天候に影響を受けることを忘れてはいけない。

タイヤ圧= ドライ27.0-28.0 / ウェット30.0-31.0 

ELECTRONICS − TC、ABS、ECUMap、telemetry laps

 「TC(トラクション・コントロール)」とはホイールスピンを抑制する電子制御である。エンジンの出力やタイミングをコントロールするため、過度なTCはマシンからスピードを奪い逆効果となる。通常マシンには二つの異なるTCを設定しておき、走行中に適宜切り替える。FANATECのClubSportsステアリングにはポジションスイッチが2つあり、それぞれ12ポジションを設定可能だ。筆者は右側のポジションスイッチにTCを割り当てている。カチカチとダイヤルを回してTCを変更するのはレーサー気分を盛り上げてくれるので気に入っている。
 「ABS(アンチ・ブレーキロック・システム)」はブレーキロックを防ぐ役割だ。その分、制動距離が伸びるというデメリットがある。
 「ECU Map(エンジン・コントロール・ユニット)」はガソリンの流入量や点火タイミングなど、エンジンの出力を制御するコンピュータ・ユニットだ。あらかじめ設定されていて車種により若干異なるが、ECU1が最高出力となるは共通だ。ドライで4段階、ウェットで2段階にマッピングされている。筆者はステアリングの左ポジションスイッチに割り当てている。詳しくは、拙者過去記事「アセットコルサ コンペティツィオーネの取説2(ECU編)」を参考にされたい。

FUEL & STRATEGY − fuel、tyre set、front brakes、rear brakes、fuel per lap

 「fuel(燃料積載量)」「tyre set(使用タイヤ数)」「fuel per lap(タップあたりの燃料消費量」については説明は不要だろう。ここでは「front / rear brakes」について簡単に紹介しておく。この項目はブレーキパッドの特性を示す。設定範囲は1〜4で特性を表にまとめてみた。

設定値ブレーキ力特性耐久性レース適性
適性温度を外すと不安定
摩耗よる劣化が大きい
やや中予選
スプリントレース
あらゆるレース距離に対応
性能劣化によるブレーキフィールの変化
耐久レース
特にウェットコンディション耐久レース
最大ショートスプリント専用
劣化による特性の変化が最も激しい
予選
スプリントレース
ブレーキパッドの種類と特性

 このページではピットストップ時の戦略設定も行える。車のセッティングとは直接関係はないが、「燃料積載量(fuel)」、「タイヤのコンパウンド(tyre)」、「タイヤセット」の設定が可能だ。タイヤセットは所有するタイヤ数を示している。「PITSTOP STRATEGY」にも「タイヤセット」の項目があり、そこでは各タイヤの初期設定を行う。またTYREページと同様に “LAST READING” にはタイヤの状態として、「摩耗」「グレイニング」「ブリスタ」「フラットスポット」の各情報が表示される。「グレイニング」はタイヤ表面がささくれる状態で、タイヤの温度が十分に上がらないまま走行を続けたり、コーナーでスライドが頻発すると発生しやすい。「ブリスタ」はその逆で、温度が上昇しすぎることによってタイヤ内部が沸騰し気泡ができる状態を指す。「フラットスポット」はタイヤをロックさせた際に、激しい摩耗が一部分に生じることで、そこだけが極端にすり減って平坦になってしまった状態をいう。グリップの低下のみならず、走行中に振動が発生することもあるので改善したいところだ。ドライビング・スタイルの改善と、キャンバー角やブレーキバランスなどを微調整するのがよいだろう。
 

MECHANICAL GRIP − 車の姿勢制御全般

 この項目が最もわかりにくいかもしれない。まずは「FRONT」と「REAR」の設定から見ていこう。「antiroll bar」は車体のロール(ねじれ)を抑制するために、左右のタイヤのサスペンションをつなぐパーツだ。横向きのねじれをロール、縦向きをピッチと呼んでいる。ここを設定するにあたっては、基礎知識として前輪が後輪よりもグリップする時、車はオーバーステア傾向(曲がりすぎる)になり、後輪のグリップが強いとアンダーステア傾向になるとこを押さえておきたい。アンチロールバーの設定は「やわらかい」「かたい」と表現し、「やわらかい」ほどオーバーステア傾向になっていく。特に前輪の設定はコーナー性能に、後輪の設定は加速性能に影響する。

 「ブレーキバランス」はブレーキペダルを踏んだときに4輪に作用するブレーキの配分の設定である。ゲーム内ではフロントとリアのバランスのみを設定できる。設定値を50%以上にするとバランスは前寄りになり、それ以下だと後ろ寄りになる。前寄りに設定した場合はブレーキング時、つまりコーナー侵入時に安定するが少しアンダーステアが出る。一方で後ろ寄りにするとターンイン時に不安定になりオーバーステア傾向となる。ブレーキバランはレースを通じて、タイヤの状態や路面温度などに合わせて常に変更されるべき項目である。筆者はハンコンの右ダイヤルに割り当て、いつでも設定値を変更できるようにしている。

 「ステアリング比」とはタイヤの切れ角とハンドル操作の比率である。自転車はハンドルの軸にそのまま前輪がついているので、ハンドルを切った分だけタイヤが曲がるため1:1となる。ゲーム内の初期値は13:1で、ハンドルを13°傾けるとタイヤが1°切れることになる。ハンドルを360°回転させるとタイヤは約27°切れることになる。この設定値を上げるとタイヤが曲がる率が減少するため、ゆっくりタイヤが切れていくと理解すれば良い。次に「サスペンション」に移ろう。設定値は「wheel rate」「bumpstop rate」「bumpstop range」の3つからなる。「wheel rate」はサスペンションを完全に縮めるのに必要な力をあらわす。この数値が高いほどバネが硬いということになる。フロントにエンジンを積むマシンの場合、フロントが重いため、それに応じてサスもフロント・ヘビーに設定する必要がある。

 「Bumpstop rate」とはサスペンションのバネが最大限に縮んだときの硬さである。そして「Bumpstop Range」とはバネがどのくらい縮むかという幅を表す。スムーズな路面ではバネを硬く設定することができるが、荒れた路面ではバネを柔らかく設定し、衝撃を吸収する必要が生じる。柔らかいほどタイヤが路面に沿って走行するのでグリップを得ることができるが、車体は不安定になる。具体的な設定の方向性としては、バンピーな路面で車が跳ねると、その瞬間グリップを失う。そして再びタイヤが路面に設置すると突然グリップが復活するので、マシンは意図しない方向に向かって飛び出していくような動きを見せる。一方で、サスペンションが十分に伸び縮みすると、そういった瞬間的なグリップの喪失を避けることができるが、車の荷重変化が大きくブレーキング前後でバランスを失いやすい。

「preload differential」、デフの設定だ。デフについては筆者ブログ「(ゲームの世界の)F1マシンのセッティング Part 1(トランスミッション編)その1」を是非参照していただきたい。ゲームの設定では数値を下げるとデフを固める方向に設定される。したがってコーナ時にバタつくが出口でのトラクションは増大する。逆に数値をあげると柔らかいセッティングとなり、コーナーリング性能が上昇するが、加速に劣ることとなる。

DAMPER − サスペンションの中身

 ラジコン・カーを組み上げたことのある人なら、オイルダンパーと聞くと、プラスチックの円筒形の容器にオイルを注入し、そのオイルの粘性でシャフトの動きの滑らかさを調整するパーツを思い出していただけると思う。前項のサスペンションがスプリングの硬さや、縮んだ際のストッパー(ラジコンではここはO字型のゴムリング)の設定だったのに対して、ダンパーの設定はこのオイルの入った部分ということになる。実はこの部分については詳細を得ていない。したがってラジコン・カーでの知識を応用しつつ書き進めたい。

 サスペンションが、車に入力される外部の力を基準に設定されているのに対して、ダンパーはその動きの応答速度を制御するものである。具体的に書くと、サスペンションのバネを伸び縮みさせるのは荒れた路面で車が飛び跳ねた際に地面から受ける力である。バネが硬いとこの力を跳ね返し車が跳ねる。やわらかいと力を吸収し車へ及ぼす影響を弱めるのはイメージしていただけると思う。もし仮に車とタイヤがスプリングだけでつながっていたとしたら、路面の凹凸が即座にバネを伸び縮みさせ、車は常にグニャグニャと波打つように暴れ回っていることだろう。そこでダンパーの登場である。バネに入力された力がバネを縮める際に、その応答速度を調節する。ダンパー内に充填されたオイルの粘性に従ってバネの伸び縮みを遅らせ、極端な動きを抑制するのだ。bumpはバネが縮む時の動きを、reboundは元に戻る時の動きを調整する。速い応答はコーナーや路面の凹凸で効果を発揮し、緩やかな応答はブレーキング時に有効となる。reboundの設定値はbumpの設定値よりも必ず大きく設定しないとダンパーが機能しない。

AERO − 車高、ウイング角、ブレーキダクトの調整

 最後のセクションは主に空力を扱うが、面白いのはブレーキダクトの開口を調整できることだ。まずは「ride height(車高)」の調整だが、車高を低くするとダウンフォースが増すが、一定値を超えて低くしすぎると抵抗が増加する。最初は最も高い位置に設定しておき、走行を繰り返しながら徐々に下げていき、ダウンフォースとドラッグとの境目を見極めると良いだろう。「rear wing/splitter」はウイングは言わずもがな。ダウンフォースの量を調整し、ハンドリングとトップスピードに影響を与える。

 「brake ducts(ブレーキダクト)」とはブレーキディスクに直接空気を送り込む通風口である。口の大きさを設定することができる。大まかには、口が広いほど大量の空気をブレーキディスクに当てることができるので、ブレーキの温度を低く保つことができる。逆に口を狭くするとブレーキ温度を高く保つことが可能だ。ブレーキは一定の温度で最大性能を出せるように設計されているのだが、それはそのまま摩耗につながる。従ってブレーキの温度もマネイジメントする必要がある。ダクトは最大温度を制御するだけではなく、たくさんの空気はブレーキを短時間で冷やしてくれる。ブレーキのインジケーターを見て、常に温度を示す色が緑から黄色に保たれるように調整するのが良い。ブレーキやタイヤの温度は、路面の温度や気温にも影響を受けることを忘れてはならない。雨のレースでは雨水がブレーキディスクに影響を与えかねない。気温と路面温度の上昇も期待できないので、ウェッとレースではダクトを小さく設定しておこう。設定は6段階で行える。
 このゲームは一般設定の中にブレーキ温度のマネイジメントのオン・オフがあるように、こだわりを持って制作されている。ブレーキ温度をマネイジメントしながら走るのは難しいが、是非この項目をオンにして、ゲームの魅力を最大限に享受してほしい。セッティングを煮詰めていく面白さにも夢中になることだろう。

 『アセットコルサコンペティツィオーネ』の設定を一つ一つ確認してきた。セッティングを変更しながらテスト走行を繰り返すたびに新しい発見があり、見直すべき点もたくさん見つけることができる。それでもまだまだわからないことも多い。ゲームのバージョンが上がることで、新たに実装される項目も出てくるかもしれない。また目には見えないところで調整が行われ、それまでのノウハウが通用しなくなることも珍しいことではない。今後も日々情報をアップデートし、加筆修正を加えながら、このブログを完成形に近づけていきたい。

コメント

  1. クロ より:

    細かい解説ありがとうございます!
    1つ付け加えると、ブレーキダクトでローター温度を調節しますが、この温度がタイヤ温度にも影響します。
    応用としてはタイヤが発熱しにくい時にダクトを閉めてローター温度↑、タイヤ温度↑。タイヤが発熱し過ぎる時、ブレーキダクト開ける、とした方が良いです。
    これは実際のレースシーンでも一般的な事なので、ACでもよく再現されてるなと言う感じです。
    タイヤが冷えた状態でアクセルとブレーキを同時に踏んでローターを温めるとタイヤにも熱が入っていくのが分かりますよ。
    実際のレースでもスタート前にアクセル→ブレーキを交互に踏んでいるのはブレーキを暖めるのもありますが、実はローターからタイヤへ熱を伝えるためだったりします。

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