自作FANATECコックピットのススメ

FANATEC

 レースシムを楽しむにはハンコンは不可欠。そしてハンコンには相応の設置場所が必要である。筆者が所有する(参照)FANATECのハンコンは強大なフォースフィードが魅力であり、それ故に設置場所と方法にはしばしば頭を悩ませることになる。ハンコン本体とクランプ一式の重量を支えるのに十分な厚みのある天板は必須。フォースが机全体を揺らす振動は机の脚を伝わり、激しく床を打ち付ける。読者の中には経験されたことのある方もいらっしゃることだろう。何かが破壊されるような恐ろしい爆音が発生することもある。高さも問題。オフィス机ではレーシングポジションとは程遠く、気がつけば軽自動車を運転するときの姿勢になっている。悲しい…

 うまくホイールベースを設置できたとしても、さらなる難題が待ち受ける。ペダルユニットは床に置くしかない。ユニットの底には滑り止めのゴムがついているが申し訳程度で、思いっきりブレーキングすれば間違いなくペダルユニットは前方へ押し出され、ペダルを踏み込んだ足は空振りする。そうでなければ自分の体が椅子ごと後ろにずれるまでだ。ユニットがずれないようにと、できるだけ上からペダルを踏み込む…、やはり軽自動車のポジションだ。悲しい…

解決策はコックピットの自作!

 ハンコンを上手に設置して気分良くレースシムを楽しむには、コックピットの導入しかない。ちょうどいい高さや強度を持つ机を探し出すのは難しい。筆者はこれまでホイールベースをニトリの頑丈な机に設置し、ペダルユニットを壁に押し付けて、なんとかズレないようにしてきたが、根本的な解決には至ってはいなかった。快適なプレイ環境を手に入れるには、もう作るしかないのだ。
 もちろん、自作する前に既製品の購入も検討した。リーズナブルなものはホイールベースを支える支柱が一本で見るからに強度不足。フレーム全体がグラグラしそうなものがほとんどで、コックピット全体の設置方法が新たな問題となりそうなものばかりだった。それなりの金額を出せば事情は変わってくる。FANATECの純正コックピットフレームは約10万円。DD2の強大なパワーをも受け止める頑強さが写真からも十分に伝わってくる。ただし、このフレーム。DD2を設置するにはさらにオプションパーツが必要ときた。一体いくらになるの?

 椅子や脚立を販売する企業が、レースゲーム用コックピットを販売していたりするから面白い。Amazonにも出品されていて簡単に入手可能。ただしお値段の方もなかなか立派で、もう少し頑張ればFANATECの純正に手が届きそうになる。それならFANATEC一択だろう。これでもない。

 なかなか適当なものが見つからない折、筆者が日頃情報交換させていただいているフォローワーさん達がタイムラインに続々と自作コックピットの写真や設計図をアップしていく。絶妙のタイミング。初めて筆者は自分で作るという選択肢を得た。さっそくさらなる情報収集の開始。生産材会社のアルミフレームを部材にCADを使ってコックピットを設計する強者、「単管」と呼ばれる現場の足場用素材をうまく利用したアイデア満載のコックピット。どれも筆者にインスピレーションを与えてくれる。しかし同時に問題点も浮き彫りになる。筆者には素材、部材を加工する工具やスキルがない。アルミフレームをカットするには専用の工具が必要だし、丸い単管に垂直にねじ穴を開けるのは工具以上にスキルが必要そうだ。もっと加工しやすくて、組み立てやすい部材はないものか。

筆者にとっての正解は、「マルチアングルL型」

 DIYショップを物色すること2時間。筆者が見つけたのは「マルチアングルL型」という鋼材だ。カットはショップにお願いできる。ワンカット二十円はリーズナブルだ。ジョイントの部材はT型、L型のものから、正確に直角を出せるブラケットなど種類は豊富。M10の六角ボルト25mmとナットでガッチリと締め付ける。かなりの強度もある。これならいけそうだ。

厚さや太さも色々ある

 部材は決まった。さっそく簡単にデザインを決めて、必要な部材点数を計算する。部材の価格は2400mmで約1500円。ジョイント部の金具は250円から800円まで形状や大きさによって様々だ。基本的には250円のL字、T字の金具で連結可能だ。

 


設計に際して、もう一度解決したい問題点を整理することにした。

 まずはブレーキを思い切り踏み込むとペダルユニットがずれる、もしくは体が椅子ごと後ろに下がるのを解消したい。実は今までフルブレーキングしたことがない。ストレートエンドでは、かなりマージンをとってのブレーキングをせざるを得ず、そのため何度か後ろから追突されそうになったことがある。少し迷惑な運転をしていたのだと反省しているが、止むを得ずだった。この点をクリアするためには、ペダルユニットとシートが一体となるように設置できなくてはならない。そのため、まずは基礎となるフレームを作り、そこにペダルユニットとシートを設置することにした。基礎フレームは全長1300mm、全幅を550mmとした。このサイズならペダルからシートの距離も、そして横幅もゲーミングチェアのシート部分がすっぽりおさまり具合がいい。そして2400mmの部材からは1300mmと550mmが2本取れる。550mmはシートを設置するために前後に2本。さらにペダルを設置するために前後のさらに2本を必要とするため、部材を無駄にすることなく切り出せる。なかなかいいスタートだ。

高床式にして正解。掃除しやすいかも。

 つぎにコックピット全体を床から350mm底上げし高床式とすることにした。これはモニターの設置方法と関係する。当初、モニターは机の上に設置すれば良いと考えていた。そのため、コックピットを床に直置きするのでは高さが足りなかったのだ。そのため机の高さに合わせて設計した。しかし最終的には写真のように、ハンコン本体もモニターも全てを一体化させることに成功したため、350mmの高床式にする必要はなかったのかもしれない。しかし床から少し浮いた状態のコックピットに座るのは、マシンに乗り込む感じがして楽しい。今後、サイドをアクリルパネルなどで囲んでいけば、さらにコックピット感が出せるのではないかと、結果的には楽しみが増えることになった。掃除やメンテナンスのしやすさは予想外の副産物。

 2400mmの部材から脚用に350mmを4本、そして500mmを2本切り出しハンドル本体を取り付ける部分に利用することにした。基礎フレームにシートを設置し、実際に座ってみてハンドルの設置部分の高さを決定することにした。FANATECのCSWはクランプも入れると相当な重さがある。この位置合わせの作業は本体の重さに加えて、大切なデバイスなので、かなり神経を使う堪える作業だった。

 450mmの支柱を1300mmのベース部分に作り、支柱の上から100mmのところに先ほど切り出した500mmを渡して、その上にハンコンを設置するブリッジ部分を作成する。しかし実際に組み付けてみると、剛性十分だったはずのマルチアングル部材のジョイント部分がクネクネと少し捩れてしまい、ホイールベースがグラグラと揺れる。これではフォースフィードに耐えられないし、何よりも快適に運転できない。そこでもう一つ同じブリッジ部分を作成して、2つのブリッジにまたがるようにクランプを設置することにした。これならびくともしないはずだ。

2本のブリッジ部分に設置すれば安定する

いよいよ大詰め、モニター用のブリッジを作って完成へ

 さぁ、ここまでくるとゴールが見えてくる。と、同時にかなり疲弊してきた。なにせ4連休の3日を費やしている。制作は楽しいが、細々した部材を買い忘れたり、ボルトが足らなくなり買いましたりとDIYショップに何度か通う羽目に。せっかくの連休なのに、DIYショップに入り浸りとは…。否、それは自らが選んだこと。コックピット完成の暁には、快適でニンマリがとまらない自作コックピットが完成するではないか。そして晴れてビルダーたちの仲間入りができるではないか。モティベイティブに!

 筆者はすでにモニターを2面で使用するためのアームを所持している。これを利用すればモニターの設置は簡単だ。ハンコンを設置したブリッジ部分にアームを取り付けてモニターを設置してみた。

設置はできたものの画面が近い

 うまく収まったのはいいが、モニターが近い。我慢すれば遊べないことはないが、画面の4隅に表示されることが多い数々のインフォメーションを確認するのが目線の移動だけでは難しい。数日間、この状態でプレイしてみたが慣れることはなかった。そこでもうひとつハンコンを設置したのと同じブリッジを作成して、ここにモニターアームを取り付けることにした。ということで、今日もDIYショップへお出かけした。
 
 これで全てうまくいくかと思ったが、ブリッジ一本にアームを取り付けるのでは強度が足りない。ハンコンの時と同じように、グラグラするのだ。なんと学習能力のないことか。自分を責めてもこの年から何かが劇的に変わるとは思えない。解決策をねり、実行するほかないのだ。ブリッジ作成のために2400mmの部材から450mmを2本と550mmを1本切り出していた。350mmの端材が手元になる。これをうまく使えないか!さっそくハンコン部分のブリッジとモニター用のブリッジ間にこの端材を取り付けた。ぐらつきが解消された。そしてモニターアームの取り付け方を少し工夫して、この端材にかかるように取り付けることに成功した。強度は完璧。…完成した。

プレイした感想は、「大満足!」

 コックピットは高床式。「乗り込む」という表現がしっくりくる。

 コックピットに乗り込む。ハンドルの高さを微調整した。ブレーキを思いっきり踏み込んでみる。ロードセル・ブレーキに変えた時に重くて最後まで踏み込めなかったが、もうズレることを気にする必要はない。ロードセルの重さを堪能しながら奥まで踏み込んだ。改めてこのブレーキユニットの良さを味わう。コックピットがなければ知ることがないまま過ごしていたことだろう。
 
 久しぶりにiRacingを立ち上げて走ってみる。大型アップデートがあったのか、UIがガラリと変わっていて驚いた。自分のランクもCクラスに上がっていて二重に驚いた。
 
 わざと縁石に乗り上げたり、ブレーキを思い切り踏み込んでブレーキをロックさせ車をずりずりと滑らせる。フォースは100%にしていた。ゴリゴリとフィードバックがある。これまでなら盛大に机と部屋の調度品が不協和音を奏でるその瞬間、筆者のコックピットはびくともせず、質の良いFANATECのフォースフィードが筆者の手のひら、腕、肩、そしてチョッピり肥えてたるんだ腹に伝わった。

 大満足!

コメント

  1. 島村孝児 より:

    はじめまして!
    50を過ぎてからレースシムにハマってしまったダメなおやじです。
    5~6年前パソコンデスクを探していましたが丁度いい大きさのパソコン机が無い為アングルで作りました(横幅が約2メートル)
    2年前にグランツーリスモスポーツにハマりハンコンはThrustmaster T300スタンドはAP2 Racing Wheel Stand ホイールスタンドを購入(嫁にバカにされました)
    これらを合体すべくコックピットを自作にて製作。
    シートはAmazonで買ったGTRACINGを取付150mmの高床式でシート座面は約450㎜
    シートは固定すると不便なので、ヤフオクでカプチーノのシートレールを1000円で落札、これを取り付けました。←これは結構良いです!
    最近はアセットコルサ コンペティツィオーネPS4を頑張ってます。
    来年はFANATECとiRacingに挑戦したいと考えています…
    ブログ楽しみにしていますので頑張ってください!

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