テレメトリー環境を一緒に構築しよう(1)(アセットコルサ・コンペティツィオーネ)

アセットコルサ コンペティツィオーネ

 テレメトリーとは、遠隔地の測定結果をデータセンターに送信し処理することである。レースの世界では、マシンに搭載された送信機から送られてくる走行データを、ピット後方に待機するエンジニアが解析し、マシンのセットアップやコンディションの監視、ドライバーへの指示などに役立てる。マシンから得られる走行データは、速度の変化やブレーキングの強さとタイミング、エンジン回転数、サスペンションの動き具合などなど多岐にわたる。素人の筆者が全てを知る由もないが、レースシムの世界にもテレメトリーがちゃんと存在している。テレメトリーで送られてくるデータは解析ソフトにかけられ、グラフや表形式の見やすい形で提示される。

MoTecのテレメトリーの概観

 レーシング・シムの世界にあって、テレメトリーほど現実のものに近いものは他にないだろう。テレメトリーとは「データ」であり、この部分についてはリアルもシムも変わりはない。だからリアル世界のテレメトリー解析ソフトがそのまま利用できたりするのである。
 MoTeC社はエンジン制御パーツ(ECU)の製造会社であり、デフの制御やデータ・ロガー(データの収集と保存を行うユニット)の老舗である。現場でも使用されているテレメトリー解析ソフト「i2」をレーシング・シムでも利用できる。無料なのが嬉しい。これから数回に渡ってこのテレメトリー・ソフトの使用方法を、環境構築を進めながら一緒に確認していきたい。ただしズボラな筆者のことだから、次回をながーーくお待たせすることになるかもしれないことを、予め断っておくとしよう。
 
 まずは画面をご覧いただきたい。

アクセル開度やブレーキなど、マシン操作が視覚化される。

 カラフルな波形は、車から送られてくる様々なデータだ。色や配置、波の形状(縦方向、横方向への縮小・拡大など)をカスタマイズすることが可能だ。比較検討したいデータを上下、隣り合わせに並べると確認しやすい。ここでは「スピード」と「ハンドルの切れ角」の関係を見たいのですこし縦方向を拡大して上下に並べている。緑が「スピード」で赤が「ハンドルの切れ角」だ。それぞれもう一本白いラインが重なるように表示されているのは、別のマシンで走行したラップのデータである。ここではAMG(メルセデス)で走行したデータを重ねて、BMWとAMGの車の特性を把握しようとしている。
 

サーキットの各区間の詳細を確認できる

 こちらはコースマップに各区間の使用ギアと、コーナー入口の最高速とコーナー途中の速度を表示させたものである。内側と外側とで2つの異なるデータ(BMWとAMG)を並べている。ここはベルギーの「Zolder」サーキットだが、ギアの色分けを見るとBMWもAMGも6速(オレンジ)以上が使用されていないことがわかる。ストレートが極端に短く中低速コーナー主体のサーキットであることが一目瞭然である。

 もう一つ別のデータを紹介する。

 これは各コーナーと、コーナを繋ぐ直線ごとのタイムを表示したものである。ラップタイムをくらべながら、どのコーナー、またはどの直線区間が速かった(遅かった)のかを比較検討できる。またマシンのセッティングを最高速重視やコーナー重視にした際に、どの区間でタイムを縮めているかがわかるため、セットアップの方向性を決めるのに役に立っている。ラップごとに表示されるため比較は容易だ。こんなに細かいデータまで記録しているとは驚きである。スキルの高いドライバーがどのように走行しているのかを分析するためにデータを手に入れたくなる。

 さて、他にもMoTeCi2はデータを自由にレイアウト可能だ。様々なデータを必要に応じて並べながら、タイムアップを目指してドライビングを分析し再考できる。ただしプロユーズの解析ソフトなので、データを「見る目」が必要なのは言うまでもない。数値が視覚化されているがそれをどう読み解くかは知識と経験次第と言える。しかしながら、ここは楽しいレーシムの世界。お堅いことは抜きにして自分が思いのままに楽しめば良いのである。ですよね!

ではさっそくインストール方法を紹介していこう。ただしこれがちょっとばかり複雑で…。

MoTeCi2のインストール方法

 とにかく公式サイトよりアプリをダウンロードしよう。

 サイト(MoTeC公式サイト:https://www.motec.com.au/software/latestreleases/)の中段、下の画像を頼りにファイル(i2 Pro V1.1.4.0454(64Bit))を探してダウンロードして欲しい。

 

 ここからは少し手順が必要なので順番に確認していこう。このソフトウェアはACCだけでなく、様々なレーシングゲームでも使用できるため、インストールと同時にACC用の環境を構築していくことになる。具体的な手順は下記の通りだが、利用する環境によって多少の違いがあることを予め断っておかなければなるまい。

1)ファイルをダウンロードしたら、解凍してインストール
2)MoTeCi2を一度起動してから終了(何も操作する必要はない)
3)ACCを起動して、任意のマシンでゲームを開始して終了(ここでも走行する必要はない)
4)「documents/Assetto Corsa Competizione/MoTeC/Workspaces」に作成された「base_ACC」フォルダをコピー
5)「documents/MoTeC/i2/Workspaces」に、コピーした「base_ACC」フォルダを貼り付ける
6)「base_ACC.i2wsp-archive」をダブル・クリックしてACC用のWorkspaceをインストール

 ここまでがアプリの環境構築となる。いくつか不可解な手順もあり、本当に必要なのかどうか十分に検討できていないが、海外のフォーラムに掲載されている情報からそのまま手順を紹介させていただいた。筆者の環境ではこの方法でうまくいっているので、皆さんとも共有させていただくことにした。

 つぎにゲーム内の設定を紹介しておこう。

 アセットコルサ・コンペティツォーネのセットアップ画面をご覧になられたことがあれば、「エレクトロニクス」の項目内に「テレメトリー・ラップ」という細目があるのにお気づきだろう。MeTeCのようなテレメトリー解析アプリにデータを出力するための項目なので、ゲーム単体では機能しない。筆者も長く疑問に思っていたが、テレメトリー導入に際してようやく理解することができた。

 使い方は簡単だ。出力したいラップ数を設定するだけで良い。だたし入力したラップ数を上回って周回した場合は、最新のラップデータへと上書きされていくので注意されたし。PCのストレージ容量(メモリ容量も含む)が記憶総量になるため、スペックに余裕があれば周回数を多い目に設定すれば良いだろう。

 実際に走行を終えてデータを取得すると「documents/Assetto Corsa Competizione/MoTeC」に「サーキット名、車種、カテゴリー、日時」という名前が付いた、拡張子「.ld」のファイルが保存される。これをダブルクリックすれば自動的にMoTeCにデータが読み込まれることになる。

ワークスペースを作成する

 データを読み込んでも、解析方法を予め作成しておかないと、実際には画面に何も表示されずに考え込んでしまうことになる。ここでいう解析方法とはどのデータをどんな形式で表示するかということと同義である。とにかく解析方法を設定しないことには始まらない。はじめてMeTeCを使用する際には、おそらくここが一番問題になるだろう。

 それでは一緒に作成していこう。

 まずは「MoTeci2 Pro1.1」を起動しよう。メニューが表示されたら「新しいワークスペース」を選択する。次に「新規作成ウィザード」が開始されるので、「次へ」へ進んでいこう。「ワークスペースタイプ」の選択は「サーキット」を選べばよい。つぎに「ワークスペースの場所」の選択となるが任意の保存先を選べばよいだろう。ただし「テンプレート~にコピー」のチェック欄は「オフ」にしておくほうがよい。チェックをつけておくといくつかのタブが自動的に作成されるが、初めて触る場合には、かえってわかりにくい。

チェックボックスは「オフ」をお勧めする。

まずはじめに走行データを読み込んでおこう。「ファイル」→「ログファイルを開く」と進み、保存されている走行データ(「ドキュメント」→「アセットコルサコンペティツォーネ」内の「MoTec」フォルダに保存されている)を開く。データがないと、これから配置していくグラフやマップなどが正しく配置されたかどうかがわかりづらい。

 いま開いている画面を確認しておこう。まだ何も作成していない状態の「Workbook」の「Worksheet」を開いている。「Worksheet」にカーソルを合わせて右クリックして「ワークシートの名前を変更」を選び、「スピード&ブレーキ」とつけてみよう。

 それでは「スピード&ブレーキ」タブをクリックして、このワークシートにデータを追加していこう。「追加」メニューから「時間・距離のグラフ」を選び、プロパティが開くので「チャンネルを追加」を選択しよう。追加可能なデータ名が表示されるので、最上段の「BRAKE」を選ぼう。そうすれば図のようにリストに追加されるはずだ。

 つづけて「チャンネルを追加」から今度は「SPEED」を追加してみよう。「OK」を押してプロパティを閉じれば、ワークシートにブレーキとスピードの二系統が色分けされたグラフが表示されているはずだ。

スピードとブレーキの関係を視覚的に表している。当たり前のことだが、ブレーキ(紫)を踏んだ直後からスピード(緑)は減少している。またブレーキの踏み方は山のてっぺんが尖っている場合は「ガツンっ」と踏んだ感じで、頂点が富士山のように平らになっている場合はブレーキをその時間分残していることがわかるのである。グラフ中央のブレーキングのようすからは、一度ブレーキを緩めたものの、十分に減速できていなかったことから、もういちど踏み足している様子がわかる。それに対応するスピードグラフはギザギザと加減速を繰り返していることを示していて、データからこのコーナーでミスをしていることが読み取れる。

 より見やすくするために、この2系統を重ねて表示させてみる。

 もう一度プロパティーを開こう。「ブレーキ」と「スピード」はそれぞれ「グループ1」と「グループ2」の異なるグループに属していることがわかる。「スピード」の上にカーソルを合わせて「スピード」を「グループ1」へとドラッグ&ドロップしてほしい。

 同グループに入れて一括りにすることで、このように二つが重なって表示される。これでよりブレーキングとスピードの関係がわかりやすくなった。

 画面右のツールをいろいろ押して、縦方向や横方向に縮小拡大をして見やすくしてみよう。グラフ下部にカーソルを合わせれば表示領域を縮めることも可能だ。

 ここまで足早に説明してきたが、ご理解いただけただろうか。次回、改めて筆者が利用しているテレメトリー環境を紹介しながら、一緒に構築して行こうと思う。この記事のみならず他の記事もぜひご覧いただき筆者を引き続き応援いただけると幸いである。お願いいたします。

 今後も引き続きテレメトリーの完成を目指して記事を投稿していくつもりである。ぜひ、お付き合いいただきたい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました