FANATEC DD1の本気レビューその2:ダイレクトドライブのススメ

FANATEC

 筆者の書斎兼コックピットにDD1がやってきてひと月が経過した。DD1の購入までに色々と頭を悩ませたことは「本気レビューその1」ですでに紹介済みである。今回はいよいよその使用感についてのレビューとなる。思えばサイドワインダー・フォースフィードバック・ステアリングホイール(Microsoft)を手にしてから20年以上が経過し、途中レーシングシムからフライトシムへと一度は浮気をしたこともあった。いやかなり本気だったかな。一時期はネットの仲間達と世界の空港を飛び回っていた。ATCのレーティング上げて管制官を演じたこともあったかな…。

 数年前に再びレーシングシムの世界に戻ってきた。きっかけはグランツーリスモ。Logicoolは家庭にハンコンを普及させる立役者だった。プレステでも本格的にレースゲームが楽しめるようになったことを喜んだ。いくつかハンコンを買い足し、買い替えながら、ThrustmasterのT300へ辿り着いた。筆者のゲームのプラットフォームもPSからPCへ移っていく。たくさんのシム仲間とネットで出会い、筆者は一段ずつレース・シマーの階段を登っていった。そしてFANATEC(公式サイトへ)の存在を知るのだ。そしてさらにその奥に広がる世界も…。

 さぁ、前置きはこのくらいにしてDD1を握る筆者のほくそ笑んだ顔を思い浮かべながら読み進めて欲しい。

DD1を開封して筆者が最初に口にした言葉は…

 DD1は突然筆者のもとにやってきた。もちろんメーカーサイトに注文したのは紛れもない筆者自身なのだが、いつもとは異なっていた。これまで筆者はFANATECの製品をいくつも購入している。CSL EliteにCSLペダル、そしてFormula Wheelが最初のFANATECだった。次にCSW2.5。そしてロードセル・キット。その途中にステアリングのボタンに貼るシール類も購入したか。今回が7つ目になるのだが、これまではいずれも購入してまもなく発送済みの連絡があった。そこから運送会社の追跡番号を確認することができ、到着の日をおおよそ知ることができていた。それが今回は発送メールを受け取らないままに商品が到着した。注文したのは2020年12月10日。受け取ったのは12月12日だった。FANATECは日本国内に在庫を持っているようで、これまでも注文して2・3日中に商品を受け取っている。到着までの日数に変わりはない。ただ発送通知がこなかった。発送のメールがなかったので、少し待たなくてはならないのかと覚悟していただけに、嬉しい驚きだった。しかも到着したのは土曜日!

 見慣れたFANATECの専用段ボール。DDの梱包はYouTubeのレビューサイトで何度も見ていたので既に知っていたが、実物を前に開封するのはテンションが上がる。外箱の左右にあるプラスチックのロックを解除する。思ったよりも固い。「バチんっ」とこれも予想以上に大きな音を立ててロックが外れる。いよいよ本体とご対面だ。Club Sportsシリーズ以上のグレードの製品は黒い巾着袋に入っているのだが、DDは巾着はない。本体がそのまま入っている。しかしこれはこれでいい。見た目からも容易にずっしりとした重量があることがわかる黒い塊がそこにある。ステアリングを取り付ける金色の軸がただの軸なのに… かっこいい。

 手にとっても持ち上げてみる。CSL Eliteを持った時の感覚を思い出しながら。CSW2.5に書い直した時の感動を思い出しながら。DD1をほんの少し持ち上げただけで、筆者のそれらの記憶はすべて塗り直されてしまった。DDが重たいことは読んでいた、聞いていた、見ていた。しかし、筆者の手に金属のひんやりと冷たく固い感触とともに伝わる重量は、そのどれから伝えられたものから想像したよりも遥かに重かった。本体はコンパクトだと思う。見た目からは20Nmを発生させるだけの迫力は正直感じない。しかし手に取ってみると即座に考えを改めざるを得ない。このコンパクトな筐体の中に、何が詰まっているというのか。これだけの重量をもつ物質があるのかと思うくらい重たい。CSW2.5を手にして工業製品としての完成度を実感した時も、CSL EliteのABS樹脂とは違うアルミニウム合金の質感と重量に感動すら覚えた時も、今回のDDを持ち上げた瞬間には及ばない。はっきり言おう。中途半端な机やコックピットには設置不可能だ。筆者はコックピットを自作している。見た目は悪いが強度には自信がある。CSWを降ろしてDDに付け替える。コックピットにしっかりと収まった。メーカー検証済みのアルミフレームなら問題ないだろう。しかし中途半端な作りのコックピットでは確実に無理が生じると思う。絶対に撓み、ぐらつくから、DD購入の場合は、コックピットへの投資も念頭に置いておくこと。

 DD1を開封して筆者が最初に口にした言葉は…「うわぁはっ! やっぱ、ちゃうわ」(心の声) 
 「重い」と思ったでしょw

DD1をコックピットに設置して筆者が最初に口にした言葉は…

 開封した。つぎは取り付けだ。

 ここで一考 ー「どうやって設置しようか」

 CSW2.5はFANATEC純正のクランプで、L型アングル鋼材を2本渡したハンドル設置部分に挟んでいた。通常の机に設置する時と同じ方式だが、それに加えてアングル材とボルトで留めて補強していた。クランプもかなりの重量で、2箇所で挟み込むようになっていたので、なんとかこれを利用できないかと考えた。

 DDの本体裏面には5つのボルト固定様の穴が空いている。このうち最低3箇所で留めるように指示されているが、重量や発生するフォースを考えればできるだけ5つ全て留めておきたい。しかしL型アングルはこの点においては融通が効かない。アングル材は互いに連結させる際にボルトを通せるようにくり抜かれている。そこそこの大きさがあるので、コックピットを組み上げる時に位置が合わずに困ることはなかったが、DDの設置の際にはそううまくはいかなかった。DD本体の穴の位置とアングル材のくりぬき部分と筆者が設置したい本体の位置の3つがピッタリとあう場所が見つけられなかった。ここがアングル材の弱点だ。流行りのアルミSUSフレームはレールにネジ受けを入れて必要な位置に無段階で調整できる。クランプはCSWと一緒に一度箱に収納していたが、再び取り出して利用することにした。

 これで本体をコックピットに取り付けることができた。しかし少し気になることがある。それはこの純正クランプは2つのパーツからなり、土台になる部分とホイールベースをつける部分が蝶番式に接合され角度の調節ができるようになっている。この角度はハンドルを斜め下方に向ける側にしか動かない。これはCSWには本体に水平から少し上を向くような角度がついたフレームがついている。見た目はそれほど急角度ではないが、コックピットに設置すると思った以上にハンドルが上を向く。テレビ映像や写真から、フォーミュラカーのハンドルは箱車とは異なり、ほぼドライバーの正面に水平に設置されいてるように見える。あるいは若干上を向いているか。したがってクランプは、標準のフレームで少し上を向いたハンドルを蝶番で良い加減に下げて、フォーミュラーらしいポジションになるように作られている。(下向きにしか角度が調整できない本当の理由はわからない)つまり気になることとは、ハンドルは水平よりも上向きに設置することはできず、下方にしか調節できないクランプの蝶番は、なんの役にも立たないということなのだ。そこで余計なパーツは省くことにした。ホイールベースにつける方のパーツは使わずに、土台の方に直接DD本体を取り付けてコックピットに設置した。そのため筆者のハンドルはちょうど目の前か、少し下あたりに水平に筆者の方を向いてついている。操作しにくいのならコックピットの方で角度を調整するしかない。しかしここもアングル材の欠点だが、微調整は難しい。とくに斜め方向に組み上げるのは至難の技なのだ。

 とりあえずコックピットに取り付けた。角度は水平だが、高さは調整できる。今回、DDを設置するにあたってコックピットを一度バラして組み直した。設置するにあたって、というのは少しニュアンスが違う。前回のブログに書いたが、筆者はコックピットを買い換えることも検討しており、実際には海外メーカーの担当者と拙い英語でインフォメーションを受けていた。アルミフレームでバケットも買って、今後のデバイスのアップグレードに一分の隙も内容状態を目指していた。そのため自作鋼材コックピットをバラして片付けて、新しいコックピットを迎える準備をしていたのだ。しかし土壇場でDD購入へと舵を切った。この辺りの理由はブログを読んでいただきたい。何はともあれ、コックピットをもう一度組み上げる。部材を買い足さなくてもいい程度に少し変更を加えた。それは本体のサイズの違いから、モニタの位置に再調整が必要となったからだ。詳細はこうだ。DDの本体サイズはCSWよりも少し長い。加えてステアリングを取り付ける軸がDDの方が長いので、ステアリングはその分だけ体に近い。それに合わせて座る位置を後ろに下げると、CSWの時と同じままではモニターの位置が遠くなる。最初はあまり気にしなかったのだが、Twitterで情報交換している先輩レーサーからモニターの位置はちょうどDDの真ん中あたり、ステアリングからすこし後ろが良いとアドバイスを受けた。そこで何度かバラして調整を続ける。

 DD1をコックピットに設置して筆者が最初に口にした言葉は…
「アルミSUSフレームなら調整は簡単なんだろうーなー」(買い換えると思ってるでしょ!?)

DD1のマニュアルを見ながら筆者が最初に口にした言葉は…

 取り付けは完了した。いよいよ電源を入れてDDのフォースを堪能しよう。いや、その前にマニュアルを読まねば。筆者はたいして文章がうまくないのにもかかわらずブログを書くのが趣味だが、読書はそれ以上に好きだ。読書というとちょっとかっこつけすぎ。活字を読むのが好きと訂正しておこう。マニュアルもその一つ。すこし残念だったのは、DD1にはクイック・マニュアルしかついていなかった。フルバージョンはサイトからPDFでダウンロードする必要がある。ついでにドライバーもダウンロードした。まずはマニュアルを読んでいく。ここで十分、たっぷり、何度も同じ動画見て予習したにもかかわらず知らなかった機能を発見する。それはなんとなく気になっていたディスプレイを使った機能だ。FANATECのディスプレイと言えば、筆者にとってはフォース・フィードや回転角などを設定するために使うものという思い込みがあった。もちろんDDでも、それらの設定をディスプレイ上で数値を変更して行う。しかし、それだけではなかった。筆者の頭は年齢とともに硬化(降下)していたんだなぁ。どうしてそれ以外の機能があるかもしれないと思えなかったのか。予習不足と、想像力の乏しさにがっかりくると思いきや、嬉しい驚き。なんとディスプレイにはステアリングの各種設定のほかに、周回数やラップタイムを表示させる機能や、フォースの強さやファンの回転数、モーターの温度などをモニターする働きを併せ持っていたのだ。とくにフォースの強弱の変化を数値とグラフで確認できるのは嬉しい。なにせ8NmのCSWから20NmのDD1へ買い替えたのだから、フォースの出かたや強度には当然興味関心がある。期待値も高い。ラップタイムや周回数の表示も、実際にはiRacingと同時に起動させているアプリで既に表示済みだが、それでも筆者の買って良かった満足度をさらに高めるのに十分なだけの魅力と説得力がある。これこそ最高峰、Pudiumだ!嬉しい驚き。
 落ち着いて続けよう。操作はステアリング上の小さなファンクション・スイッチを押しながら右のアナログスティクを上下左右に倒して行う。それぞれスティックを倒す方向で表示が切り替わっていく。このあたりはマニュアルを参考にしていただいたらいいだろう。何も操作をしなければ「FANATEC」の文字が表示されている。

 つぎはいよいよドライバーのインストールだ。筆者がDD購入を検討し始めた頃からネット上ではDDをはじめFANATECの製品に動作不能に陥るトラブルの報告が相次いだ。ドライバーの更新やファームウェアのアップデートがうまくいかないことが原因のようだが真相はわからない。CSWを使用していた時も何度かPCの組み替えに際してドライバーの再インストールやファームのアップデートを行なっていたが、それらのトラブルに見舞われたことはなかった。しかし今回は少し違う。DD2の初期不良の話や突然スイッチ類が動作しなくなるトラブル、フォースがかからない不具合などなど、気になる報告が本当に多い。

 最新のデータをダウンロードしインストールを開始する。そしてファームウェアの更新へと進む。この辺りはソフトの指示に従って順番に進めていくだけだ。ここでファームウェアのアップデート手順を確認しておこう。

ファームウェアのアップデート方法(マニュアルより)

 よくあるソフトやマウスなどのデバイスなら、「次へ」「次へ」と軽快にクリックしていく流れ作業になりがちなドライバーのインストールやファームウェアのアップデートも今回ばかりは極めて慎重に行なった。前述のように、筆者はマニュアルを読むのが趣味のような男、いや、おっさんだ。フルバージョンのマニュアルの25項から手順が説明されている。ファームウェアのアップデートの前に、PCとUSBで接続するしてBootloader modeに切り替える必要がある。Bootloader modeへの切り替えには2つの方法がある。

 ひとつは本体の電源が入っている時に、PCドライバーの「Update」ページにある「Update Podium Base Firmware」をクリックして開始する。もうひとつのやり方は本体の電源が切れている時に、本体後部の白い「電源ボタン(LED内臓で点灯する)」を8秒以上長押しする。Bootloader modeに入れば「電源ボタン」が点滅する。そしてファンの回転は止まり、PCの画面には “Fanatec Wheel Base has been started in Update-Mode”というダイアログが表示される。筆者は後者の方法を選択した。この方がModeに入ったことが確実に分かり間違いがないと判断した。さらにはモーターのファームウェアのアップデートも実行しよう。「Update tab」の「Update Wheel Base Motor
Firmware」をクリックする。あとは画面の指示、といっても「次へ」「次へ」と進めていくだけで良い。本体が再起動しモーターが自動的に回転し始める。この時、絶対に軸やハンドルに手を振れないこと。理由はわからないが、マニュアルにそう書かれている。

 正常に終了すると次はキャリブレーションだ。筆者の環境ではホイールとモーターセンサーのキャリブレーションが必要だった。シフターを所有しているのならそちらも併せて行われたし。ドライバー・ソフトウェアの該当箇所をクリックするだけでよい。以上でセッティングは完了した。お待たせしました、いよいよフォースフィードの感触を味わうとしよう。

(次回に続く)

 

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