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FANATECからMOZAへと乗り換えた理由

レースシムに本格的にはまって5年。

この世界ではまだまだ「ひよっこ」の筆者ではあるが、一人前にそれなりのプレイ環境を整えていたりする。

自室にはアルミフレームのコックピットがあり、9nmのトルクを発生するMOZA Racingのダイレクトドライブ「R9」がガッチリと設置されており、ステアリングは先日発売されたばかりの「KS Steering Wheel」。マグネット式のパドルと好みの色に光るLEDが埋め込まれたボタンが高級感と高揚感の両方で筆者を満足させてくれる。

この環境を手に入れるまでの道のりは決して平坦ではなかった。

最初は家電量販店で購入したPS用のハンドル「ロジクール ドライビングフォース」からスタートした。

コントローラーに比べれば、操作性もゲームへの没入感も段違いとはいえ、良くも悪くも”おもちゃ”の域を超えない。フォースの弱さやギア方式特有のガリガリ音に嫌気がさし、ベルト方式の本格的なハンドル「Thrustmaster T300RS GT Edition」へと買い替えたのだ。

ベルト方式はギアとは比較できないほどスムーズで遅延も少ない。フォースはその後20nmを知ることになった筆者がいま振り返ると十分ではなかったように思うが、その時は特に不満はなかった。

しかしこのハンドルも長くは続かなかった。

今度はハンドルではなく、ゲームそのものに満足できなくなったのだ。いや、満足できないというよりも、PCのレースシムの世界を知ってしまったと言うほうが正確かもしれない。

マシンの挙動はPSとは比べ物にならないくらいリアルで、世界中のシムレーサーとオンライン対戦が可能とくれば我慢できるはずもなく、気が付けばPCを自作していた。

そして本格的なレースシムの世界の扉を開いた私の目の前には、見たことも、聞いたこともない景色が広がっていたのである。

数十万円するホイールベースと呼ばれるモーター本体。たくさんのボタンとスイッチが付いた実物のフォーミュラカーを模したステアリング。バネ式ではない感圧式のブレーキペダルや油圧ダンパーのついたアクセルペダル。

そして当時は間違いなくその中心にいたFANATECという老舗ブランド。

そしてギアでもベルトでもないダイレクトドライブ方式のホイールベースはその中でも最高級品に属するものだった。

すぐに購入できるはずもなく、それでもFANATEC製品を手にしたい思いからベルト駆動式のホイールベース「ClubSport Wheel Base V2.5」を購入した。

初めてのFANATEC。

ドイツ製の堅牢で精巧な工業製品だった。

ステアリングは奮発して前述のフォーミュラ・ウィール「ClubSport Steering Wheel Formula V2」を購入した。

家電量販店でハンドルを購入して1年が過ぎていた。思い返せばFANATECを購入した時が私のレースシムの出発点だったのかもしれない。

そしてそれから半年後。

Podium Wheel Base DD1」が私の家に来た。ダイレクト・ドライブでどうしても走りたかったのだ。

そして3年が過ぎた。

目次

FANATECに満足していたが、新興勢力には最新の技術とコスパが。

DD1はFANATECの上から2番目の機材となる。25nmというパワーを発生するDD2が上位機種として存在するのだが、キルスイッチ(緊急停止ボタン)がどうしても必要というのでないのなら、DD1を選択して差額の66,300円でステアリングやペダルを購入するのも賢い選択だと思う。

DD1を3年間使用した。ネットには不具合の報告が散見されるが、私のDDは週末を中心にかなり酷使したが一切の不調もなく効果ではあったが元は十分に取れた。

20nmという強大なトルクを最大にしてドライブするのは私には不可能だった。高速コーナーではステアリングを維持するのが困難なほどのフォースがかかる。40~60%程度の出力で使用していたのがよかったのかもしれない。不調知らずは、負荷を少なく長く楽しんでいたということの裏返しかもしれない。

つまりFANATECに対して何も不満はなかったのだ。

それではなぜ、今回DDを手放してMOZAに乗り換えたのか。

MOZA RacingはMOZAが展開する新しい製品群で、文字通りレースシム用のハンドル、ホイールベース、アクセル、ブレーキペダルなどのデバイスたちからなる。

Racing分野では新興勢力の一つだが、カメラをスタビライザーの分野では老舗であり実績のあるメーカーである。

カメラのスタビライザーを簡単に説明しておくと、いわゆる手振れを防ぐためにつねにカメラを水平垂直に保つための装置であり、ジンバルという名称で一般ユーザーにも認知されつつある商品の業務用製品である。

カメラを水平垂直に維持するのにモーター制御を行う。かなり精密な制御が求められ、その技術力はハリウッド映画界のお墨付きでもある。

そんなモーター制御のプロ中のプロがレースシム用のホイールベースに目を付けたのは至極当たり前のことである。

新興勢力だけあって、FANATECをはじめとする先人たちの長所を取り入れるとともに、問題点をうまく解消した製品は私にとって魅力的であった。

DD1を3年使用し、メーカー保証が切れたこともあり、デバイスの入れ替えを検討していた。FANATECのクイックリリースのつくりの古さ、デザインが変わらないフォーミュラ・ホイール、そして何よりも一新されないペダルユニットは、これから数年間、使用し続けていくには満足いくものではなかったのだ。

とくにペダルユニットは、おおくの先輩ユーザーたちがより高級で高機能なものを求めて買い替えている。ソフトウェアで入力をカスタマイズできないのはもはや致命的ともいえる。ソフトウェアでの制御に関しては、MOZAペダルの紹介記事を鋭意執筆中であるのでそちらを待たれよ。

そしてクイックリリース。いわゆるホイールベースとステアリングの結合方式であるが、FANATECのシステムは高トルクへの耐久性に不安を残したままである。(これに関してはクイックリリース2が発売され一新された)

そして最後にコスパである。このインパクトは凄まじい。

20nmというわけにはいかないが実用上十分される9nmを発生するMOZA R9本体と、フォーミュラ型のステアリング、先述した入力の強さをカスタマイズできるペダルユニットの3セットが13万円で手に入る(2023年9月現在)

13万円は決してお手軽な金額ではないが、同様のセットをFANATECで揃えようとすると18万円ほどになる。さらにペダルは入力調整ができないタイプという妥協を強いられ、結合方式も旧式のままとなる。最近発売された改良型のQR2に変更するにはさらに数万円の出費となるのだ。

なによりも新しい物好きの筆者が、これだけの好条件をそろえられては躊躇するまでもない。

あとは実際の使い心地である。これが一番大切であることに異論はないが、F3やGTカーに実際に乗った経験はなく、また今後も恐らくないとすれば、目の前のホイールベースが発生するフォースとペダルの踏み心地こそがすべてであり、それに満足できるのであればそれで良いではないかというのが持論である。

レースシムを愛するものとして、できるだけリアルを求める拘りはあるが、フィーリングに関して言えば絶対に実車に追いつくことはないことを受け入れざるを得ない。この点に関してはリアル風の域を出ることはないわけで、私にとって大切なのは、このMOZAエコシステムがDD1から乗り換えたことを後悔させない程度に満足を得られるものであれば、十分に価値があるという一点なのだ。

さぁ、そのフィーリングをじっくりと味わってみよう。

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この記事を書いた人

20年?ぶりにフライトシム沼にハマっているおっさんです。

このブログと同名のポッドキャスト📻も配信しています。

つい最近までレースシムにはまっていたのですが、MSFS2020と出会ってしまい(出会わないようにしていたのに)再び空の世界へ戻ってまいりました。
「おっさんさん」でも「おっさん」と呼び捨てていただいても結構です。
😅

よろしくお願いします。

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